短剣符
ダガー。
この魅惑的な響き。
脚注のしるし。
オベリスクとも。
脚注にはいくつか使い方があるようだが、なかでも作品世界の外部に触れていくような、本文に対する補足的かつ本質的な情報が記すのがいい。本文の制約を
一時的に逃れた避難所で、
のびのびとしかし緊張をもってくりだされるカデンツァ。
本文のリズム圏でドライブされる本筋の読みとは別の、蠱惑的なひだにわけいるような森で粘菌を見つけるような楽しみは、読書ならではの毒であろう。
また短剣符は人の没年を表す
文字上の墓標としても機能するらしい。
アジールであり、墓でもある短剣符。
墓とは死者を思う場所であり、
自分もまた死にゆくことを少し思い出したりする時であり、今ここを俯瞰的に
見る領域でもある。
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YOL